赤ちゃんの頭のゆがみ対策として、体位変換やタミータイムが推奨されています。
「タミータイムって何?」「どういうことをすればいいの?」など、色んな疑問があるのではないでしょうか。
この記事では、タミータイムの効果や実施方法、実施する際の注意点について解説しています。
日常のお世話の中に取り入れて、赤ちゃんの頭の変形を防ぐようにしましょう!
Contents
タミータイムって何?なぜ推奨されているの?

タミータイムとは?
タミータイムのタミー(tummy)とは「おなか」という意味があり、「タミータイム」は赤ちゃんが目を覚ましているときに腹ばいで過ごさせる時間のことをいいます。
一般的には「うつ伏せ遊び/練習」や「腹ばい練習」などとも言われています。
広義では、表面が固いもの(床やベッド、ベビーカー等)の上で赤ちゃんが同じ姿勢で長時間横にならないようにする動作のこと全般をいい、遊ぶときにうつ伏せになる他、抱いて過ごす、ポジショニングを変えるなども含みます。
タミータイムが推奨される理由
乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防として仰向け寝が推奨されてから、頭の形がゆがんだ赤ちゃんが増えてきています。
この頭のゆがみを予防・軽減するためにタミータイムを設けることが推奨されるようになってきました。
乳幼児突然死症候群(SIDS):窒息などの事故とは異なり、元気だった赤ちゃんが何の予兆や病歴のないまま眠っている間に突然死亡してしまう病気のこと。うつ伏せ、仰向けのどちらでも発症しますが、うつ伏せに寝かせたときのほうがSIDSの発症率が高いとされています。
引用/政府広告オンライン
その他、赤ちゃんの首や肩の筋肉が鍛えられ、寝返りやハイハイに必要な筋肉を丈夫にする目的もあります。
乳幼児突然死症候群に関することや頭のゆがみ改善ヘルメット治療など、赤ちゃんに関することは基本的に欧米が進んでおり、少し遅れて日本にも適用されます。
タミータイムについても、頭のゆがみ(扁平化)の予防と運動発達の促進等のために欧米で推奨が始まり、最近では日本でも推奨する声が大きくなってきました。
なお、本記事では、取り組みが進んでいる欧米の資料をベースに解説しています。
タミータイムの効果とは!ゆがみ防止効果以外もある?

タミータイムを実施する/実施しない場合はどのような影響が出てくるのでしょうか。
タミータイムの効果
タミータイムの効果としては、主に以下の5点が挙げられます。
- 首や肩の筋肉が鍛えられる、寝返りやお座り、ハイハイに必要な筋肉を丈夫にする
うつ伏せの姿勢で頭や手足を動かすので、首回りや背中などの筋肉が鍛えられ、寝返り等の動作に必要な筋肉が発達します。
また、成長するにつれて、抱えながら飛行機遊び等をすることでバランス感覚等を成長させる効果もあります。
- 首の筋肉が堅くなったり、後頭部が平らになるのを防ぐ
仰向け寝を続けて頭の一部が常に圧迫されていると、頭が平らになります。これを斜頭症といいます。
タミータイムで頭の圧迫時間を減らすことで、斜頭症になりにくくすることができます。
また、首が動きにくい(一定方向に向く)斜頚と呼ばれる病気の改善効果もあるそうです。
- 呼吸器の発達を促す
背中が床で圧迫されないため背中側の肺が広がりやすくなり、呼吸が促されることで呼吸器の発達が促されるといわれます。
また、うつぶせ姿勢に慣れている赤ちゃんは、口をきちんと閉じて腹式呼吸を行いやすくなるともいわれています。
『口をきちんと閉じて鼻呼吸をする』というのは、感染症の予防等の健康面でもとても大事なことといわれています。※
- 視野の広がり等により、脳や体の発達を促進できる
赤ちゃんは生後2ヵ月で物を目で追うようになり、生後3か月で物を追って頭を動かすようになります。
生後5ヵ月くらいでは座っている範囲で周囲を探索します。
自発的に頭を動かし、目で見て、手で触るといった行動を繰り返すことで筋肉と関節を使い、身体感覚が赤ちゃんの脳に伝えられ、身体的及び脳が発達していきます。
仰向け時間が長いと視覚が制限され、目で追ったり手を動かしたりする範囲が狭いですが、タミータイムで抱き上げや体勢を変えて遊んであげることで、周りへの興味が増えて寝返りやハイハイ等が上達する等、赤ちゃんの発達を促進してあげることができます。
- ☆赤ちゃんとの絆が深まる☆
赤ちゃんは生後数か月間は視力が低く、遠くまではっきりとは見えません。
顔を近づけて見つめあったりすることも赤ちゃんとのコミュニケーションの1つになります。
お母さん、お父さんそれぞれでタミータイムの時間を取れるといいですね。
タミータイム:月齢別オススメ方法・実施時間

タミータイムは首がすわる前とすわった後でできることが違います。首がすわる前は、あまり負担をかけないように実施しましょう。
首がすわる前(1~3ヵ月)
新生児の腹ばいの練習を始めるには、1 日に 2 ~ 3 回、数分間、胸の上または膝の上に赤ちゃんを腹ばいにして寝かせます。
腹ばいの状態で、赤ちゃんは頭を持ち上げたり、首と肩の筋肉を鍛えたりすることを練習できます。赤ちゃんが慣れてきたら、もう少し長く続けてもかまいません。
首がすわった後(4~7ヵ月)
床の空いている場所に毛布を敷きます(クッション性の高い敷物は窒息の恐れがあるため注意)。
赤ちゃんを毛布の上にうつ伏せにして、最初は 3 ~ 5 分間、1 日に数回寝かせます。この姿勢だと赤ちゃんはぐずったりイライラしたりすることがあります。
最初の腹ばいの時間は短くして、徐々に長くしていきます。赤ちゃんが食事やおむつ交換を済ませ、幸せなときに腹ばいの時間をするのも良いでしょう。
赤ちゃんが慣れてきたら、より頻繁に、より長い時間、腹ばいにさせてあげましょう。専門家は、赤ちゃんが 3 か月になるまでに、1 日あたり約 1 時間腹ばいにすることを推奨しています。
音を立てたり、ガラガラを振ったりして、赤ちゃんが上を向いて体を起こすように促します。赤ちゃんの前にお気に入りのおもちゃを置いて、手を伸ばしたり前に動いたりするように促します。
タミータイムの様々な方法
抱っこ
赤ちゃんを交互に左右の脇に抱えることで、赤ちゃんは両側を見たり、向きを変えたり、バランスを保つことができます。
片側だけだと癖がついてしまうかもしれないので、必ず左右両方実施するようにしましょう。
また、赤ちゃんを肩まで抱き上げてまっすぐ支える等して抱きかかえる姿勢を変えることで、赤ちゃんは左右両側に顔を向けることができます。赤ちゃんの筋力が強くなり自分で頭や上体を動かすようになると、少し支えるだけでよくなります。
赤ちゃんの力が強くなってきたら、抱えながら飛行機遊びをする等して赤ちゃんに刺激を与えるようにしましょう。
おもちゃ遊び
床の上で赤ちゃんと遊びましょう。赤ちゃんの体の両側におもちゃを置くと、自らの意思で頭の向きを変え、両手を伸ばして遊ぼうとします。
一緒に遊ぶことで赤ちゃんはほかの人たちと一緒の場合でも安心するようになります。
着衣と入浴、おむつ替え
服を着せたりお風呂に入れたり、おむつを替えたりするときはタミータイムを長くできるチャンスです。
抱き上げる、抱く、ポジショニングを変えるなどのアクティビティを間に挟むことで、楽しみながら入浴やオムツ変えをすることができます。
頭からつま先までマッサージするのもいいですね。
授乳
授乳の時は赤ちゃんを抱く腕を頻繁に変えましょう。このようにすると赤ちゃんは左右両側に顔を向けることができ、首の両側で柔軟性が養われます。また、赤ちゃんの後頭部への圧力を小さくできます。
ゲップさせるときは膝の上で横ばいにさせてもいいですね。
タミータイムを実施するうえでの注意点
- 赤ちゃんを常に見ておく
腹ばいになってタミータイムを実施している場合、窒息のリスクがあるため必ず赤ちゃんから目を離さずに、常に見ておくようにしましょう。
トイレなど、一瞬でも目を離す際は、仰向けにしてから離れるようにすることが重要です。
- うつ伏せで寝かせない
うつ伏せの状態で寝てしまうと、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まるとされています。
SIDSは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なります。
令和5年には48名の乳幼児がSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第5位となっています。※こども家庭庁HP参照
タミータイム中に赤ちゃんが眠そうになった場合は、仰向けで寝かせるようにしましょう。
- 柔らかい素材を避ける
首がすわっておらず筋力が十分でない時期の赤ちゃんは、うつ伏せになると顔が下を向くため、窒息の恐れがあります。
敷物が柔らかい素材の布団やクッションだと顔が埋まる危険性があるので、畳や硬めのマット、薄めのタオルケット等の上でタミータイムを実施するようにしましょう。
タミータイムをしていても頭がゆがんでしまった場合
頭の形をセルフチェックし、必要に応じて医療機関に相談するようにしましょう。
参考文献
視覚発達支援センター:https://www.ikushisya.com/hattatsu.html
タミー・タイム・ツール:https://www.choa.org/-/media/Files/Childrens/teaching-sheets/tummy-time-tools-japanese.pdf?la=en&hash=1F2ADF0B809706FA2E4337DF002952332DC6BBCA